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もしかしたらCIDPかも…。どうやって診断するの?

監修 : 防衛医科大学校 内科学講座 神経・抗加齢血管内科 准教授 海田 賢一 先生

CIDPの診断には、特徴的な症状(≫症状は?)があることに加え、末梢神経に脱髄が起こっていることと、症状のよく似た他の病気ではないことの2点を確認する必要があります。

CIDPの診断に必要な3要素

脱髄の有無を調べるには、手や足の末梢神経に電気刺激を加えて伝導速度を測定する検査が簡単で有用です。

この検査によって2つ以上の神経で脱髄の存在を示唆する所見が得られ、臨床症状にも矛盾がなければCIDPと診断されますが、確証が持てない場合は、さらに詳細な電気生理学的検査やMRI検査が行われます。

また、他の病気と鑑別するために、尿や血液の検査も行われます。

注射器 MRI

また、CIDPと同じような末梢神経障害(ニューロパチー)症状が引き起こされる疾患には、〈表〉に示したものがあります。

診断を確定するためには脳脊髄液検査、抗体検査や遺伝子検査などが必要なこともありますが、病歴や家族歴から類推できることもあります。

これらのなかでも特に、表の筆頭にあげたギラン・バレー症候群(GBS)は、CIDPとの共通点が多いにもかかわらず治療法が異なっており、誤った診断に基づく治療は病状を悪化させる可能性もあるため、注意深く鑑別する必要があります。

〈表〉 CIDPとの鑑別が必要な主な末梢神経障害(ニューロパチー)と鑑別ポイント

1. 免疫介在性ニューロパチー

  • ギラン・バレー症候群 (GBS):急性・単相性の経過を呈し、症状は4週間以内にピークを迎えた後に徐々に回復に向かう。

2. M蛋白血症に関連したニューロパチー

  • MAG抗体陽性ニューロパチー:緩徐進行性、遠位優位・深部感覚障害優位の多発神経炎型ニューロパチーを呈する。 MAG抗体陽性。
  • POEMS 症候群(クロウ・深瀬症候群):多発神経炎、 臓器肥大(肝脾腫など)、内分泌異常(糖尿病、甲状腺機能低下症など)、 M蛋白血症、皮膚の異常(色素沈着と多毛)を認める。
  • ALアミロイドーシスに伴うニューロパチー:軸索障害優位の多発神経炎型ニューロパチーを呈する。自律神経障害を呈する場合が多い。 M蛋白やベンス・ジョーンズ蛋白が陽性となる場合が多い。

3. 遺伝性ニューロパチー

  • シャルコー・マリー・トゥース (Charcot-Marie-Tooth: CMT)病:家族歴の有無、幼少時の運動能力の聴取が鑑別に有用であり、遺伝子診断 (PMP22 遺伝子重複の有無など)にて確定するが、既知の遺伝子変異の スクリーニングによっても陽性とならない場合もある。
  • 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー (hereditary neuropathy with liability to pressure palsies:HNPP):家族歴の有無、圧迫麻痺の既往の聴取が鑑別に有用であり、遺伝子診断(PMP22遺伝子欠失例が多い)にて 確定する。
  • 家族性アミロイドポリニューロパチー:軸索障害優位の多発神経炎型ニューロパチーを呈する。心アミロイドーシスや自律神経障害の有無が鑑別に有用である。遺伝子診断(トランスサイレチン遺伝子の変異例が多い)にて確定する。

4. 代謝性疾患

  • 糖尿病性ニューロパチー:下肢優位で軸索障害優位の多発神経炎型ニューロパチーを呈する。 自律神経障害を合併することが多い。

5. 腫瘍性

  • 傍腫瘍性ニューロパチー:感覚失調を主徴とする軸索障害優位のニューロパチーを呈する場合が多い。腫瘍自体の検索や、 傍腫瘍症候群に関連した抗体 (Hu抗体や CV2/CRMP5 抗体など) の検索により鑑別する。
  • 悪性リンパ腫に伴うニューロパチー:多発神経炎型ニューロパチーの他に、多発性単神経炎型を呈する場合も多い。

6. 運動ニューロン疾患

  • 筋萎縮性側索硬化症:感覚障害を認めない。上位運動ニューロン徴候を認める。

7. 薬剤性

  • タクロリムス:治療歴の確認。
  • インフリキシマブ:治療歴の確認。曝露中止後もニューロパチーが進行する場合がある。

8. 中毒性

  • ノルマルヘキサン (n-hexan):神経生検にて著明な軸索の膨化を認める点が鑑別に有用である。 曝露中止後 もニューロパチーが進行する場合がある。

慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー、多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2013,p55

CIDPの経過は?

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